進入争いと“前付け”の読み方 〜枠なりだけが正解じゃない〜
最近のボートレースは、スタート展示を見ると「枠なり3対3」がほとんど。
特に若手や女子戦では進入が動かないことも多く、舟券的にも読みやすいレースが増えている。
しかし――
進入が動くレースほど、“波乱の可能性”と“読みの妙味”がある。
前付け、深イン、カド受け、ピット離れ…
見た目には地味だが、進入は「レースの設計図」そのもの。
今回はそんな“見えざる駆け引き”の読み解き方に迫る。
◆ そもそも「進入」とは何か?
進入とは、「ピットアウト後、各艇がスタートラインに向かうまでにどのコースを取るか」のこと。
ボートレースでは「枠番通りに入る義務はない」。
つまり、6号艇が1コースに入ることも可能だ(※ピット離れと交渉次第)。
代表的な進入パターンは以下のとおり:
- 枠なり進入(1–2–3/4–5–6)←現在の主流
- 前付け進入(例:6号艇が内へ動く=2–6–1/3–4–5)
- 深インパターン(1–2–6/3–4–5などでインが100m以下に)
進入が動く=展開が変わるということ。
舟券に直結する、非常に重要な要素なのだ。
◆ 誰が動く?動かない? 前付け傾向の見極め方
まずは「進入が動くレースかどうか」を予測しないと話が始まらない。
前付けをする選手には明確な“癖”がある。代表的なのは以下のタイプ:
◎ 常習的な前付け屋
- 今村豊(引退)→井口佳典・西島義則・吉川元浩 などの“ベテラン前付け型”
- 節を通して1コースを狙いにいく。“譲らない構え”が強い
- スロー進入でリズムを作るタイプも
◎ 地元戦・記念戦で動くタイプ
- 地元SGや周年記念で前付けに動く傾向あり(例:徳増・枝尾)
- 「気合の前付け」が舟券的には大きな波乱要因に
◎ ピット離れで自然に動くパターン
- 本人の意志というより、“ピット離れが良すぎて自然と前へ出る”ケース
- 特にモーター出足型・整備直後の機力上昇時に起きやすい
一方、若手・女子選手・A2以下などは基本的に枠なりを守る傾向が強く、進入に変化が生まれにくい。
◆ 深イン=逃げ不利? その通り、でも条件次第
「前付けで内に動かれる」→「インの艇が深くなる」
これが最もオーソドックスな進入変化の展開例。
たとえば、6号艇が100m地点まで前付けしてくると、1コース艇は90m以下の深インに追い込まれ、スタートが難しくなる。
すると:
- スタートで遅れ → まくられる
- 無理に踏み込んでFリスク → 差される
- ターンで流れて → まくり差しが入る
このように、「深イン=イン逃げ率が大きく下がる」というのは明確な傾向だ。
進入展示で「これは深くなるな」と読めれば、外のまくり差し狙いにスイッチするのも手だ。
◆ カド受け、カドまくり…スロー vs ダッシュの構図
進入が変わると、同時に「誰がスロー、誰がダッシュか」も変わる。
この配置で、まくり or 差しの構図が大きく左右される。
◉ まくりが決まりやすいケース
- カド(4コース)にスタート巧者が入る
- 深インでスロー隊がスタート遅れそう
- ダッシュ勢が足で優勢(展示で伸び足良好)
◉ 差しが決まりやすいケース
- スロー隊が揃ってスタート切れる
- ダッシュ勢が“張りに行って届かない”パターン
- まくり失敗の展開で“差し抜け”が発生
進入の並びを見るだけで「今日は誰が攻める? 誰が受ける?」という構図が見えてくる。
◆ 展示で進入は予測できる
進入展示(スタート展示)では、選手が本番さながらの進入を再現する。
ここが舟券に直結するヒントになる。
注意して見るべきは:
- ピットアウト直後の動き(誰が出てくるか)
- 並びの完成までに抵抗があるか(艇同士の“押し合い”)
- 並びが完成する距離(深くなっていないか)
- ダッシュ勢の助走距離(100m以上あるか)
進入展示で「深イン・浅ダッシュ・抵抗あり」と読めれば、レース展開は大きく見えてくる。
◆ まとめ:進入は“見えない戦い”、だからこそ読めたら強い
進入は展開の起点であり、予想のスタート地点でもある。
前付けやカド取りを見抜けば、「どこからまくりが飛んでくるか」「誰が差し場をもらうか」が手に取るように分かるようになる。
今のボートレースは枠なりが多く、だからこそ“進入に動きがあるレースはチャンス”でもある。
読みがハマれば、万舟券にも届く世界だ。
舟券に悩んだとき、進入をしっかり読み解くことで、新たな切り口が見えてくるはずだ。
次回予告
次回は、
「女子レーサーの台頭と展開予想の変化」
というテーマでお届けします。
近年急速に力を伸ばす女子選手たち。
その走り方の傾向、展開の読みやすさ、そして舟券への活かし方まで、
“今どきの女子ボート”を深掘りします。
お楽しみに!