守田俊介|玄人好みの“研ぎ澄まされた勝負勘”と、道具を活かす職人技
華やかなSG戦線のなかで、決して目立つタイプではない。
だが、舟券を買う者、レースを観る者の中には「守田がいるだけで展開が締まる」と口にする者が少なくない。
守田俊介
そのキャリアは20年以上、SG優勝も経験し、G1では複数優勝を重ねてきた実力者。
だが、彼の真価は記録ではなく、レースの“質”と“安定”にある。
どこからでも着に絡む自在性、整備の仕上げ、そして読み切る勝負勘。
今回は、そんな“知と技の融合体”・守田俊介のコース別戦術と、整備面での力量を深掘りする。
コース別に見る「守田俊介の勝ち筋と組み立て」
■ 1コース進入時|逃げの完成度、歴戦の安定感
守田の1コースは、“静かなるイン逃げ”。
スリットで飛び出すのではなく、じわじわと艇を前に出す“加速の質”で勝つ。
特徴的なのは、艇がぶれずに旋回し、出口の直線でしっかり残す構成。
これは、整備で出足を重視しつつ、立ち上がりと回転のバランスを細かく合わせているから可能な走りだ。
舟券としての信頼度も高く、“派手さはないが崩れない”イン屋の代表格。
■ 2コース進入時|差し一本、信頼度の高い着拾い力
守田の2コースは、徹底して“差し一本”。
しかもその差しは、先マイ艇の引き波処理を完全に読んだうえで、艇の向きを調整してくる超技巧型。
特筆すべきは、ターンマークで回った直後にはすでに“前に出る角度”ができている点。
道中での差し返しや逆転も多く、SG常連勢の中でも道中対応力の高さはトップクラスだ。
展示で目立たなくても、守田の2コースは常に侮れない。
■ 3コース進入時|強烈なまくり差し、状況次第でツケマイも
守田の3コースは、最も“勝負感”が際立つポジション。
スリット隊形を読んで、外が攻めそうなら差し構え、インが弱いなら迷わず握る。
「差しとまくりを分けて語る選手」は多いが、守田はレース前の準備段階で両方を想定した整備と思考を仕上げてくるのが特徴。
それゆえ、3コースの1着率は30%を超え、かつ事故率が極端に少ない。
舟券戦術としても“組みやすい3コース屋”である。
■ 4コース進入時|一撃まくりより、まくり差しの名手
守田の4コースは、強引な握りはほとんどない。
あくまで、スタートで横並びなら差し構え、外の踏み込みが甘ければ“絞る”。
スタート自体は他のSG戦士ほど鋭いわけではないが、スタート後に一気に艇を立てて内に向ける技術が高く、
結果として、1M出口で伸びる形を取りやすいのが強さの秘密。
舟足が仕上がっているときは、4カドからの差しであっても“抜けた勝ち方”をするのが守田らしい。
■ 5・6コース進入時|“展開職人”、着を拾い切る逆転力
外枠でも、守田俊介は舟券から切れない。
その理由は明確で、「展開があるときに必ずそこにいる選手」だから。
5コースでは、握りはせず、最内の差しラインを読むセンスが非常に高い。
6コースでも、カド受けの艇が流れれば、すかさず小回りで浮上。まくり差し・差し返しの両方に強い。
これもすべて、回り足を節間でしっかり仕上げてくる整備と、レース中の情報処理能力があるからこそ。
守田俊介の整備スタイル|“仕上げ切る”ことに徹した熟練の手
整備において、守田は“仕上げ切ってからが勝負”の職人型。
整備の特徴は以下:
- 出足と回り足を“実戦寄り”に整える
- 足が出てなくても、必ず“乗れる舟”にする
- 節間で調整しながら最終日まで上積みするタイプ
特に、整備コメントで「出てません」と素直に語ることも多いが、実際はその後しっかり仕上げて舟券に絡む。
守田の整備は、派手な伸び型を作るのではなく、乗り味と旋回半径を細かく仕上げることで、道中勝負に強くなる足を作ってくる。
総括|“信頼の中堅SGレーサー”、本物の技巧と構築力
守田俊介の魅力は、スタート一撃でもなければ、圧倒的な伸びでもない。
だが、“どんな舟でもどんな展開でも、舟券に絡んでくる”という、本物の総合力と安定感がある。
その走りは派手さがなく、静かで、職人的。
だが、SG常連のなかでも“信用できる選手”という意味では、これ以上ない存在だ。
現代のスピード化したボート界において、守田のような選手は、“技術と構築力で勝つこと”の尊さを今も見せ続けてくれている。