Boat-Practice

関浩哉:自在に戦局を操る“若き勝負師”の真価

ボートレースにおいて、勝利への鍵は「スタート」「展開判断」「整備力」。それらすべてを高次元で融合させつつある若手が、群馬支部の関浩哉(せき・ひろや)である。

若くしてPG1ヤングダービーを制覇し、G1でも複数の優出歴を誇る関は、「若手の中でもSGで最も怖い存在」と評されることも少なくない。

本稿では、関浩哉の強みを「①コース別戦術」「②整備力」「③総括」の3項目で分析していく。


◆ ① コース別戦術傾向

▶ 1コース:高いスタート力と旋回力で押し切る“信頼の速攻型”

関の1コースは、逃げの信頼度が非常に高い。スタートは平均0.14と速めで、スリットから主導権を握る。

  • インからでも無理に握らず、冷静に差し返しを防ぐ丁寧な旋回
  • 特に記念戦での1号艇では、舟券の本命として信頼できる存在だ

逃げるだけでなく、展開が崩れた際の立て直し能力もあり、まさに「勝ち切る力」を備えたイン巧者といえる。


▶ 2コース:展開判断の巧さが際立つ“自在なセカンドアタッカー”

2コースからの関は、相手の出方や展示気配をしっかり読み取って、差しか握りを選ぶ柔軟性が特徴。

  • 差しに構える場面が多いが、スリットで覗けば強気のまくり差しもあり
  • 2マーク勝負にも強く、差し返しや競り合いでも粘りを見せる

▶ 3・4コース:まくり差しの切れ味が光る“センター巧者”

関の真骨頂はセンター枠にあると言っても過言ではない。

  • スリット後に覗けばまくり、揃えばまくり差しに転じる「展開読み+旋回技術」が武器
  • SG・G1でもこの枠から連対するケースが多く、「差し屋タイプのセンター巧者」として評価されることが多い

旋回半径が小さく、回り足を重視した整備と連動して、バックで抜け出す展開を演出する。


▶ 5・6コース:展開を突いて浮上する“実戦派アウト巧者”

関の外枠戦は、「着を拾えるタイプ」の好例だ。

  • 5コースでは展開を突いたまくり差しが多い
  • 6コースでも無理な仕掛けはせず、差し・内寄り回りから2マーク勝負で浮上するパターンがある

記念戦の5・6号艇でも「3着固定」で舟券を組み立てる価値があり、「消せないアウト屋」として位置づけられる存在だ。


◆ ② 整備力と舟足の特徴

関の整備は、典型的な“回り足+出足重視の実戦型”。

  • 初日から舟足をしっかり仕上げることが多く、レース序盤から好気配を出すケースが多い
  • ギアケースやキャブ調整よりも、プロペラ微調整に重点を置く職人肌
  • 特に「握っても流れない足」を作る整備方針で、道中戦や競り合いに強くなる仕上がりが印象的

また、近年は伸び型にも寄せる柔軟性も見せており、競合選手に応じて整備テーマを変更する判断力にも磨きがかかっている。


◆ ③ 総括:自在性×思考力=“SGを制す器の万能型”

関浩哉は、若手レーサーの中でも、どの枠からも「最善手を打てる柔軟性」を持った存在である。

  • 1・2コースでは冷静なイン支配&差し技術
  • 3・4コースでは展開を読むまくり差し
  • 外枠では無理せず内差し構えから舟券に絡む

これに、シリーズ中盤でも落ちない集中力と整備対応力が加わることで、SG・G1戦線でも常に「怖い存在」となる。

すでにヤングダービーを制覇し、G1優出も多数。今後はSGタイトルを狙えるポジションに入っており、「グランプリ常連」「賞金王争い」の領域に踏み込みつつある。

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