Boat-Practice

水面特性と風・潮の読み方 〜場ごとのクセを知る〜

ボートレースにおいて、展開予想に大きな影響を与えるのが“水面”と“気象条件”だ。
競馬に「良馬場・重馬場」があるように、ボートレースにも「走りやすい水面」「波乱が起こりやすい水面」が確実に存在する。

風向き、風速、波高、潮の干満――これらは単なる“外的要因”ではなく、予想に組み込むべき“展開ファクター”である。
今回は、ボートレース場ごとの“クセ”と、気象・潮流との付き合い方について詳しく解説していく。

◆ 水面特性は“レースの性格”を決める
ボートレースは全国に24場。
一見どこも同じように見えるが、実は「インが強い」「まくりが決まりやすい」「2マークで勝負が決まる」など、水面の個性は千差万別だ。

水面のクセを知ることは、そのレースの展開を読むための大きな武器になる。
特に次のような点が、展開予想に直結する:

ピットから2マークまでの距離(ピット離れの有無)

第1ターンマークの位置(端寄り or 中央寄せ)

水面の広さ(スロー水面かワイド水面か)

風の影響を受けやすいかどうか(防風ネットあり or なし)

潮流の有無(干満差・流れの速さ)

これらを頭に入れた上で、「その水面ではどんな決まり手が出やすいか」を押さえると、予想の精度が格段に上がる。

◆ 代表的な水面の“クセ”を知る
ここでは、いくつかの代表的なボートレース場をピックアップして、“水面のクセ”を簡潔に紹介しよう。

◉ 住之江(大阪)
ナイター場、静水面

第1ターンマークが中央寄せで広めの水面

イン逃げ率が非常に高く、まくり決まりづらい

基本的に“スローの戦い”で決まるため、スタート勘が鍵

◉ 戸田(埼玉)
淡水で水面が非常に狭い

ピット離れも近く、進入に変化が起きやすい

1マークのターン角が小さいため、まくりが非常に決まりやすい

イン勝率は全国でも最低クラス(40%を下回る年も)

◉ 江戸川(東京)
東京湾の河口部に位置し、潮流と風の影響が最も大きい

波が高くなることもしばしば、まくりが成立しづらい

差し・抜きが決まり手の中心

風向きによってはレース中止もある“難水面”

◉ 芦屋(福岡)
潮の干満差が大きく、午前と午後で水面の性質が変わる

まくり差しが決まりやすく、“インが不安定な時間帯”がある

特に満潮前後は“流れる水面”となり、差しが増える傾向あり

◉ 鳴門(徳島)
瀬戸内海の干満差の影響大

特に午前中は潮の流れが速く、“出足重視”のターンが必要

まくりよりも差し、まくり差しが増える展開

◆ 風向きと風速がレース展開に与える影響
風はボートレースにおいて“第7の選手”とも言われる存在だ。
特に「追い風」「向かい風」「横風」によって、展開は以下のように大きく変わる。

◎ 向かい風(ホーム側に対して正面から吹く)
インがターンで流れやすく、差し・まくり差しが入りやすい

スタートが決まりにくくなる(全体的に遅れがち)

波立ちが増せば“軽量選手有利”にも

◎ 追い風(ホーム側の背後から吹く)
インが押し切りやすく、逃げ率アップ

ただし“まくり”が浮いて流れやすくなるため、差しも残る

◎ 横風(1マークに対して斜めに吹く)
操舵が不安定になり、ターンミスや振り込みが起きやすい

荒れやすいが、舟足の安定性がある選手はチャンス

これらを事前に読み取って、
「今日はインが逃げにくいな」
「差し展開だ、センターに展開が向く」
と判断できれば、配当妙味の高い予想につながっていく。

◆ 潮の干満と“時間帯予想”の重要性
江戸川、芦屋、若松、鳴門などの一部場では、潮の干満がレースに大きく関係する。
特に満潮・干潮のタイミングによって「舟が流れる」「まくりが届かない」など、明確に展開が変わる。

◯ 満潮時
水面に流れが生まれ、インが流れやすくなる=差し有利

まくりも入りにくい=展開が読みづらい

◯ 干潮時
水面が比較的安定し、イン逃げが決まりやすい

特に午前中の時間帯は“逃げ中心”になる傾向

また、ナイター場では「夕方〜夜の風の変化」によって、
同じ場でも1Rと12Rで全く違う傾向になることもある。
こうした“時間帯予想”も、舟券に差をつける大きなポイントだ。

◆ “場のクセ”を知ることが、最大の近道
「展示タイムが良かった」「1号艇が強い選手だった」
そういった予想材料も重要だが、
“そのレースが行われる水面が、どういう場所なのか”を知っているだけで、予想の角度が変わる。

たとえば、
「ここは江戸川、風向きは向かい風、差しが入りそうだな」
「今日の鳴門は干潮タイム、インから信頼しても良さそう」
――この一言が言えるかどうかが、的中率と回収率を分けてくる。

水面は裏切らない。
選手と違って、その日の表情を読み解くことができれば、予想は一段上に進化する。

次回予告
次回のコラムは、
「展示航走の見方講座 〜どこを見て何を感じるか〜」
です。

展示タイム、直線の伸び、周回展示の旋回力…
ファンが最も目にする“展示”から、プロが何を読み取っているのか?
どこに注目すれば“舟足の違い”が見えるのか?
実戦的な視点で解説していきます。

次回もお楽しみに!

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